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労働組合

九電労組が6年ぶりベア要求案…2007年春闘
 九州電力の従業員でつくる新九州電力労働組合(約1万1000人)は、ベア2000円(30歳・勤続12年モデル)を骨子とする2007年春闘の要求案をまとめた。同組合のベア要求は1500円(同)を求めた01年以来、6年ぶり。20日に経営側に提出する。

 年間一時金(ボーナス)は、昨年実績を8万2000円上回る181万1000円(38歳・組合員平均)を要求する。要求額は昨年は184万円(同)だった。

 同社はこれまで、デフレや経営効率化などを背景にベア要求を見送ってきた。しかし、デフレが収束に向かい、電力自由化の拡大による電気料金の引き下げも一段落したことから、「単年度の成果を賃金引き上げとして求める時期に来ている」(新九電労組幹部)と判断した。

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 九州・山口の大手企業では、西日本鉄道労働組合が月3500円(30歳・勤続12年モデル)のベースアップと定期昇給相当分2・0%の要求を会社に提出している。昨年は2000円のベースアップと定期昇給分2・1%を要求し、ベアゼロ、昇給額2400円で妥結した。

九州経済より

労働組合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

労働組合(ろうどうくみあい)は、賃金労働者が、自らの生活条件や社会的地位の維持と向上を目的にして、自発的に団結して組織した団体。略称、労組(ろうそ、ろうくみ)。
労働組合法
労働組合法


定義
ウェッブ夫妻(シドニー・ウェッブとベアトリス・ウェッブ)の古典的著作『労働組合運動の歴史』の冒頭では、「労働組合とは、賃金労働者が、その労働生活の諸条件を維持または改善するための恒常的な団体である」と定義している(日本語訳は、荒畑寒村監訳/飯田鼎・高橋洸訳『労働組合運動の歴史』上巻(日本労働協会、1973年3月))。

日本の労働組合法では、その第2条で「……労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」と定義している。これは、上記のウェッブ夫妻による定義を踏襲したものであると言われている。

労働組合は、職業別組合から出発し、一般組合を経て産業別組合へと発展していくのが、多くの工業国でみられる展開過程である。ただし日本においては、職業別組合から企業別組合へという過程が特徴的である。

日本最初の労働組合は、アメリカ合衆国で近代的な労働組合運動を経験した高野房太郎や片山潜らによって1897年に結成された職工義友会を母体に、同年7月5日に創立された労働組合期成会である。現在のような企業別組合が発達したのは、第二次世界大戦以降である。

労働組合員および労働組合のシンパに対しては、経営者にとって不都合な場合が多いため「共産主義者」「アカ」などのレッテル貼りがおこなわれ、時折職場でのイジメが問題となる場合がある。実際には資本主義経済のなかで自身の労働に対する取り分を主張しているだけであり、サラリーマンを中心とした労働者は給与賃金に対する主張を行うためにも労働組合を利用すべきである、という意見もみられる。


労働組合 労働組合の組織
労働組合を組織する権利(団結権)および組合活動をする権利(団体交渉権)は、日本国憲法第28条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と認められている。

労働組合たる条件については、労働組合法により詳細が決められている。その条件の主なものは、所在地(本拠地)・名称を明らかにすること、使用者に相当する者・組織から資金援助を受けないこと、最低年に1回は総会を開くこと、政治・市民運動が主な活動目的ではないことなど(第2条)。

使用者は労働組合を組織することや加入すること、労働組合を通じて労働運動をすることを理由に不当な待遇をしたり、解雇するなどをすると「不当労働行為」となる。また、使用者は労働組合の正当な団体交渉には必ず応じなければならない義務を負っている(第7条)。

ストライキなどの争議行動は、本来刑法上では「住居不法侵入」、民法上では「労働契約違反」などに相当するが、日本国憲法上で保障される労働運動の権利を守る観点から、労働組合法で正当な争議行動に対しては刑罰を科されないこと(第1条第2項)、その行為によって発生した損害について賠償を請求することができない(第8条)としている。

解散は、規約で定めた解散事由の発生、組合員または構成団体の4分の3以上の議決による(第10条)。


労働組合 様々なショップ制
労働組合の団結を維持し、その機能を強化するために、労働組合法第7条第1項の但し書きで認められている労使間協定である。但し、その事業所で組織される労働組合が同事業所の労働者総数の過半数で占めるものでなければ、この協定は無効とされる(ここで言う「ショップ」とは、労使間で様々な約束事や取り決め事を交わす「協定」の意である)。


労働組合 オープンショップ制
使用者が雇用する労働者に対し、特に労働組合員であることを雇用条件にするといったことを決めていないもの。基本的に労働組合員とそうでない者との労働条件等の処遇の違いは無い。


労働組合 クローズドショップ制
使用者が雇用する労働者は労働組合員から雇用しなければならないとする制度で、労働者が組合員である資格を失った時は使用者はその労働者を解雇することになる。この制度は産業別労働組合が存在する国々に見られるが、日本では見られない。 アメリカ合衆国では、タフト・ハートレー法によってクローズドショップ制を禁止している。


労働組合 ユニオンショップ制
使用者が労働者を雇用する時は、労働組合員であってもそうでなくても構わないが、雇用された労働者は一定期間内に労働組合員にならなければならないとする制度で、一定期間内に労働組合員にならなかったり、組合員である資格を失った時は使用者はその労働者を解雇することになる。日本の大手企業に存在する主な労働組合に見られる。但し、実際はいわゆる「尻抜けユニオン」という体制が敷かれていることが多く、労働組合員である資格を失っても雇用については別途労使間で協議し、決定することが多い。従って、労働組合を脱退したからと言って必ずしも退職しなければならないことはない。

ユニオンショップ制は、労働者に組合への加入を義務付けるものではないが、実質的に見れば労働者に労働組合への加入を強制することになるため労働者の結社の自由(組合に加入しないという消極的な結社の自由)との緊張関係を生じる。そのため結社の自由を保障する憲法21条に違反しないかが問題となるが、結社の自由によって労働組合を結成する権利が憲法上既に保障されているにも関わらず、あえて特別の規定によって憲法が団結権を保障している点に鑑みると、憲法は団結権の保障に特別の意味を与え、個々の労働者の組合に加入しない自由よりも労働者の生存の基盤となる組合を強化することを優先していると見るべきであるから、労働協約や労働法制においてユニオンショップ制を採用しても憲法に違反しないとされる事が多い。

日本においては、過去の判例で、労組から脱退した場合でも他の労組に加入していれば解雇されないとされている。また、過去に労働組合を辞めない旨を特に合意していた場合でも「労組の組合員は脱退の自由を有する」とされている。

アメリカ合衆国の場合、州によっては労働権利法(Right-to-work law)を適用し、ユニオンショップ制を禁止している。


労働組合 エイジェンシーショップ制
労働組合への加入は労働者の意志によるが、労働組合員でない者でも、団体交渉にかかる経費と苦情処理にかかる経費を会費として支払わなければならない。ただし、労働組合員でない者はそれ以外の経費(ロビー活動にかかる経費や、労働組合員のみに与えられる特権の経費など)を支払う必要はない。


労働組合 個人事業主の労働組合
プロ野球選手や声優、アニメーターのように、税制上は個人事業主に定義されていても、芸能事務所と契約を結んだり、アニメ制作会社で集団作業をしたりするなど実態は労働者に近い職業もある。

このため、これらの職業にも労働組合に近い団体が存在する。代表的な団体として、日本俳優連合が挙げられる。


労働組合 最近の日本の労働組合

労働組合 組織率の低下
第二次世界大戦の直後は全労働者中に占める労働組合員の組織率も60%以上に達していたものの、年々組織率は低下し、2003年末現在においてはついに20%を下回っている状態である。 また、従業員が100人にも満たない小企業における労働組合の組織率は3%にも満たないと言われている。

労働組合組織率が低下する要因としては、一つは政府・地方公共団体などの社会保障制度が労働組合に取って代わってきたこと、そしてここ最近の不況などにより企業の再構築が進められ、会社・部門の統廃合・人員整理などが進んで労働組合が解散していったことなどが挙げられる。

また、かつては労働運動が盛んにおこなわれた時代もあった。高度成長期時代の日本における賃上げ闘争などはまさにその事例のひとつであり、労働者の生活レベルが現在よりもはるかに貧しかった時代には、日本人の生活水準向上(ひいては日本経済の拡大)に大いに貢献したといえる。しかし、労働組合が支持する政党や選挙立候補者を支持しなくなったり、労働組合やその関連団体が開催する行事や集会に参加することを面倒がったりするようにもなっている実態もある。また、多くの労働組合が組合員たる正社員の既得権の維持に汲々とし、非正規雇用者の利害を軽視・無視する事態も見受けられている。

放送業界やアニメ業界は労働環境が過酷なことで知られるが、組合を作ると仕事をもらえなくなるとして労働組合をタブー視する風潮がある。

また、投資家からは労働組合の存在について「株価にマイナス」と見る向きが多い。これは、企業にとって万一の事態が起きた場合、その企業に組合が存在していると「迅速な」リストラ策が取りづらくなってしまう、という点が嫌気されている。ちなみに近年急激な成長を遂げたソフトバンク、楽天、ライブドア、サイバーエージェント等では、労働組合の組織すら見当たらない。また、多くの人材派遣業の会社には労働組合が無い。組織を試みたために、仕事の紹介がなされなくなるなどの報復を受けるケースや、入社時に組合活動をしない旨求められる(注:これは不当労働行為にあたる)ケースもある。


労働組合 争議権の濫用
また、労働争議権を濫用し、争議権の範囲を越える街頭宣伝活動などを行う労働組合もみられる。たとえば、個人単位で加盟する東京・中部地域労働者組合は、最高裁判所で解雇が正当であると認められたにもかかわらず街宣活動を強行したため、解雇した企業とその代表者が裁判に訴え、東京地裁は「会社の名誉・信用を棄損し、平穏に営業活動を営む権利を侵害した」「虚偽の内容を含んだビラや執拗(しつよう)な街宣活動は表現の自由を逸脱し、平穏な営業活動を侵害する違法行為」と認定し、同組合に対して、対象企業近辺での街宣活動の禁止と200万円の損害賠償の支払いを命じた。


労働組合 組合機能の低下
一方「労使協調」を掲げた組合(産経新聞社など)では、形こそ存在するものの労働組合本来の機能が低下して会社側の言いなりになってしまい、「御用組合」「第二人事部」などと言われるものが多くなってしまい、場合によっては存在そのもの自体が労働者に不利益となっていることも少なくないのが現状である。


労働組合 環境変化への対応の遅れ
1990年前後のソ連崩壊以降の共産主義・社会主義的運動の退潮や、バブル崩壊のあおりを受け、1970年代から続いていた労働組合・労働運動の弱体化がいっそうすすんだ。現在では労資協調路線の連合系労組の大半、旧社会党左派系および新左翼系のほとんどすべて、共産党系の労組の多くも、バブル崩壊後の会社倒産、リストラ、パートタイマー・アルバイトの増加などによる雇用の不安定化といった、多くの労働者が実際に直面している問題に対処できていないのが現状である。ただ、現在一部労働組合はパート・アルバイトに門戸を開くことを試みており、全労連系の組合を中心に、非正規雇用の権利を主張する組合も現れ始めている。首都圏青年ユニオンなど、アルバイト・フリーターによって組織された労組も存在している。また、不況下で管理職の中高年の解雇が目立つようになり、管理職ユニオンも結成された。


労働組合 ネガティブなイメージ
日本の企業の経営者は、労働者の出世レースのゴールであることが多く(経営者と労働者の未分離)、それが過度の癒着、または対立を生む背景の一つであった。 現在の日本では、労働組合活動自体があまり知られているとは言えない現状であり、労働組合が何か活動をすると「抵抗勢力」や「何にでも反対する」というレッテルを貼られがちであり、さらには先入観から労働運動自体に眉をひそめる人もいる。近年ではストックオプション制の導入など、労働者を経営側に取り込む動きも見られている。

また、一部の労組では、新左翼の影響の下に政治的な要求や現実離れした要求を振りかざし、他の組合との抗争に明け暮れるだけで、本来の役割である労働条件の向上はなおざりにしてしまった組合や、日本航空の組合問題に見られるように、非妥協・対決路線に走り会社の現状を省みない組合となってしまったものもある。また、かつての国鉄労働組合のように鉄道にとって最も重要な存在である利用客を無視してストライキや遵法闘争を繰り返したり、かつての日産自動車のように「労使協調」が労使間の癒着に発展した末に労働組合が経営や人事に介入するなど、社会的にも非難される行動に出る組合もあった(注)。このため、「労働組合が会社を潰す」という見方が広がってしまった。

最近では岐阜県庁裏金問題に関して、自治労に加盟している岐阜県職員組合が組合の金庫に裏金を保管するなど、公金横領に深く関わり、雇用者である岐阜県庁との癒着が指摘されている。これに対して自治労は、「県当局と緊張関係を持ち、一定のチェック機能を果たすべき職員組合が、県当局中枢が関与した組織ぐるみの隠蔽工作に与してしまったことは、岐阜県民はもとより国民に対する背信的行為であると断じざるを得ず、その信頼を失ったことは、慙愧の念に耐えず、構成組織の立場からお詫び申し上げたい」との談話を発表し謝罪した。

(注)国労の遵法闘争は、怒った利用客が暴動を起こすほど酷かった(上尾事件)。また日産自動車における労組の専横は高杉良の小説『破滅への疾走』(『覇権への疾走』とも)、『労働貴族』のモデルとなった。一方、日本航空の一部労組の反会社強硬路線には、職場実態を無視した会社側の態度も一因との指摘がある。


労働組合 偽装請負の黙認
近年蔓延してきた偽装請負については、労働組合が事実上「黙認」しているといわれても仕方がない状態であり、連合の高木剛会長もこの事を認めている[1]。理由としては、経営側の方針に労働組合側が反発しづらくなっていることと、偽装請負を解消する場合、経営側がそのコストを、組合員である正社員の賃金を削減することにより捻出しようとするおそれがあるため、組合員の不利益になることを指摘できないためである。


労働組合 日本の労働組合連合組織(ナショナルセンター)
日本労働組合総連合会(連合)
全国労働組合総連合(全労連)
全国労働組合連絡協議会 (1989-)(全労協)


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